技法

 平戸洸祥団右ヱ門窯では、三川内焼の薄さや菊花飾細工、繊細な染付といった伝統技法を大切にしながら、よりよい作品づくりに励んでいます。
 また、明治、大正、昭和と当窯に伝わってきた美しい意匠をすべて見直し、現代に十分通用する卓越した器を選び、その再現に取り組んでいます。
 代表的な技法について、ご紹介します。

菊花飾細工

平戸洸祥団右ヱ門窯

 当窯に代々伝わる伝統技法で、磁器製の菊の花や葉などのパーツを、一つひとつ器に装飾として貼り付けるものです。
 花の部分は、まだ乾ききっていない磁土の塊を、先端のとがった竹の道具で1枚ずつ細長く切り出していきます。
 1周したところで表面を整え、外周も同じように切り出し、それを何周か繰り返します。最後に、余分なところをそぎ落としてできあがりです。
 菊以外にも、桜など四季折々の花を制作しています。

平戸洸祥団右ヱ門窯 平戸洸祥団右ヱ門窯
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ろくろ成形と型打ち

平戸洸祥団右ヱ門窯

当窯では、ろくろ成形で食器や置物(オブジェ)などを制作しています。
現在は主に電動ろくろを使っていますが、細工や型打ちをする時などは、昔ながらの蹴(け)ろくろも使用します。
回転させたり止めたりを自分の足で自由に、より直感的にできるためです。

型打ちとは、ろくろでつくった生地(きじ/素焼きする前の、一度も焼いていない状態の器)を凹凸を付けたりした石膏型に木製の叩き板で打ち付け、変形させる技法です。
昔の型は石膏のほか、赤土を焼いたものなども使用していました。

平戸洸祥団右ヱ門窯
平戸洸祥団右ヱ門窯
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染付技法

平戸洸祥団右ヱ門窯

およそ900度で素焼きした素地に、藍色の絵具・呉須(ごす/顔料のコバルト)を含ませた筆で絵や文様を描き、着色する技法です。
まず、絵柄の輪郭を描く「絵付(えつ)け」を行い、次に、絵柄に色を塗る「濃み(だみ)」という行程に進みます。
専用の太い濃み筆にたっぷりと呉須を含ませ、表面に流すように染み込ませていきます。

当窯では、中里閑由(なかざとかんゆ)と幸美(ゆきみ)が絵付けを、職人1人が濃みを行う体制を取っています。
同じ染付でも、産地によって絵付けや濃みの方法は異なります。

平戸洸祥団右ヱ門窯
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焼成(ガス窯と登窯)

平戸洸祥団右ヱ門窯

焼成には酸化焼成と還元焼成の2種類があり、当窯では用途に応じ、ガス窯2基と電気窯1基を使い分けています。
素焼きには主に酸化焼成のできる電気窯、本焼には還元焼成のできるガス窯で焼いていきます。
当窯が器の原料とする天草陶石(あまくさとうせき)は、還元焼成を行って初めて、白くなります。
還元焼成は窯の中で酸素が少ない状態で温度を上げる方法で、釉(うわぐすり)のなかの酸素が奪われて透明から青みを帯びていくことで、器が白くなるのです。
ガス窯は大体2時間おきに温度と燃料となるガスの量をチェック・調整して、15時間ほどで1300度に達します。そして、窯の火を止め、1日かけて窯内部を冷まします。

これが登窯になると、窯に交代で燃料となる薪を入れ続け、2日もしくはそれ以上の時間をかけて窯を焚き、さらに冷ます時間が必要となるのです。
ガス窯の方が登窯にくらべ熱効率がよく、同じ製品が同じ質で焼けるため、磁器を制作している窯元はガス窯の利用が一般的です。

三川内では登窯を日常的に使用している窯元はありませんが、年に一度共同で制作した登窯で作品を焼成することがあります。
登窯には計算通りにいかない不安定さがありますが、そのことがガスや電気の窯がなかった江戸時代を彷彿(ほうふつ)とさせる肌合いや、予想のできない仕上がりになるからです。
これは自然の力を利用した焼成法でしかなしえないことで、作品がそれを物語っています。

私どもの工房は1955(昭和30)年頃まで登窯のあった場所で、増改築をくり返し、2001(平成13)年11月の改築を経て、現在の姿になりました。

平戸洸祥団右ヱ門窯 登り窯の焼成風景

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